ただ、声をあげよう。
「ばかたれが。
突っ込んでったことで何が起こるか、なんもしとらん人間がどれだけ犠牲になり、どれだけの人間が悲しむか、なんで、想像つかん。
なんで、若いやつらに教えん?なんでこんなことが起こる?
昭吾は何のために死んだ?繰り返さんためじゃなかと?
平和になるためじゃなかと?」


つぶやくように一気に吐き出して、じいちゃんは続けた。


「お前の腹ン中の赤ん坊、2人おるんじゃろ?
お前の腹んなかで仲良う場所わけあっとるんじゃろ」



じいちゃんはやっと息をついた。


「地球もおんなじたい。
おんなじ地球にすんどったら仲良う場所わけあわんといかん。
次の時代の人間は争いを繰り返してほしくなかよ」


あたしはじいちゃんの唇から吐き出される言葉をかみ締めた。


「単純なことたい。
自分の子どもが死ぬなんて誰だって考えたくもなかよ。
どんな国に生まれようが元気ですくすく育ってほしいと願うたい」




縁側に置きっぱなしになっていたスイカのお盆を片付けて、

あたしは茶の間のテレビをつけた。



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