ただ、声をあげよう。
大量の野菜が、唐草模様の風呂敷に包まれて仏間においてあった。

持ち上げようとしたけどあまりの量で持ち上げることができない。


「じいちゃん、これ多すぎるわ」


そのとき、松の木の向こうから車のエンジン音が聞こえてきた。


だんだんこちらに近づいてくる。


「明生くんにな、お前迎えに来てくれって電話したとよ」

「余計なことだがね。じいちゃん」

「けんかしたらいけんよ。仲良う暮らさんといかん」

じいちゃんはニヤリとした。

昔っからこの人はことあるごとにあたしを驚かそうとする。


「美幸」

じいちゃんが風呂敷からきゅうりを一本取り上げて何もつけないまま、
がりりと噛み砕いた。


明生の乗った車がこの家の玄関に止まった。


ドアを開ける音がする。



「わしからのサプライズたい」


この人はとぼけた顔して、いつもあたしを笑わせる。


またじいちゃんはニヤリと笑った。


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