ただ、声をあげよう。
和室を出て外の縁側に出た。
板張りの廊下を通って、ばあちゃんがいる部屋へ向かう。
廊下の隅にダッコちゃんのビニール人形がひとつ転がっていた。
確かあたしが小さい頃にねだってねだってばあちゃんに買ってもらったものだ。
持ち上げるとぱちりと開かれた目がウインクするように閉じた。
角度を変えるとまた、ぱちりと目を開く。
ダッコちゃんはその腕が抱きしめるような形状になっていて、あたしは自分の左腕に絡ませ右腕で角度を整えた。
瞳が開いたり閉じたりする。
ところどころきしんだ音を立てる廊下を注意深く歩き、じいちゃんはつきあたりの障子を開けた。
「ばあちゃん、美幸が来たとよ」
じいちゃんは中に向かって声をかける。
返事はない。
あたしはじいちゃんの肩越しに部屋の中を覗き込んだ。
確かにばあちゃんはそこにいた。
けど。
そこに座ってた老女は
あたしが知ってるばあちゃんじゃなかった。
板張りの廊下を通って、ばあちゃんがいる部屋へ向かう。
廊下の隅にダッコちゃんのビニール人形がひとつ転がっていた。
確かあたしが小さい頃にねだってねだってばあちゃんに買ってもらったものだ。
持ち上げるとぱちりと開かれた目がウインクするように閉じた。
角度を変えるとまた、ぱちりと目を開く。
ダッコちゃんはその腕が抱きしめるような形状になっていて、あたしは自分の左腕に絡ませ右腕で角度を整えた。
瞳が開いたり閉じたりする。
ところどころきしんだ音を立てる廊下を注意深く歩き、じいちゃんはつきあたりの障子を開けた。
「ばあちゃん、美幸が来たとよ」
じいちゃんは中に向かって声をかける。
返事はない。
あたしはじいちゃんの肩越しに部屋の中を覗き込んだ。
確かにばあちゃんはそこにいた。
けど。
そこに座ってた老女は
あたしが知ってるばあちゃんじゃなかった。