海の上で、輝くアナタ。
参話
アイツを追いかけることが、俺にはできなかった…
アイツは、いきなり止まって俯いてた。
いつものように俺は、顔を覗き込み相手の名前を呼んだ。
アイツは、大粒の涙を、ボロボロ大量の流しながら、小さい声で。
「嫌だ」
何度も呟いてた。
俺はアイツが好きだ。
好きで好きで、たまんないぐらい。
アイツを俺のものにしたい、
俺はアイツだけのものであって、アイツは俺だけのものであってほしい…
勝手な欲望で、アイツが手を握るのを嫌がってたにもかかわらず、
聞かないふりをした。
俺がいけなかったんだ。
罪悪感に包まれた。
アイツはそのまま泣きながら走っていった。
追いかけるなんてことは、俺にはなく、
ただ、そう、
俺の全部が罪悪感に包まれた。
そうだよな、
海賊である俺のモノだっていわれて、うれしいやついるわけないよな、
バカだ、一人浮かれて、
そうだよな、つれてきたのも無理やり。
そう、最初もアイツないてたっけ、
最近笑うようになって安心してたんだ、きっと、
だから緩んだんだ。
笑うあいつに甘えてた、
苦しめてたのかもな…
周りが騒ぎを立ててるのに気づき、俺は顔を上げた。
海に浮かぶ、黒い鉄物。
海賊、船