VANPAIA
目の前で無機質に
担任のスミス先生が
話し始める。

まったく。
そんなにぐだぐだ話すから先生には
いつまでたっても結婚してくれる人が
現れないのよ。



ここ、ホーストン高校に
通い始めてまだ一ヶ月の
私、クレア・ミーニスト
はそんなくだらないことを
考えながら過ごしていた。

今日は朝から皆が騒いでいる。

当たり前よね。
だってこんな田舎に
珍しく転校生がくるんだから。

周りのうわさを聞く限りでは
一人ではないみたい。

八人家族が引っ越してきた
らしいからきっと
たくさんこの学校に
通ってくる。

だから皆興奮状態ってわけ。

その割り私はまだ
入学して一ヶ月目のこのクラスにも
学校にもなれてはいない。
そんな状態で友達が出来るはずもなく
私はいまだ一人きり。

なんとかしなきゃとは思っているんだけど
人見知りのあたしにはなかなか
難しいもんだいなのよね・・・。


だから新しい転校生がこの
クラスでちなみに女の子で
親しみやすかったらいいのにって
安易なことを考えてたりも
するわけ。
まあ人生そう上手くいきっこ
ないわよね。


いろいろ考えていると
スミス先生が一言発した

「入っておいで」


その言葉と同時に

一人の少年が入ってきた。


ほらね。
人生そううまくいきっこないんだわ。
神様の意地悪・・・・。


そうあたしが沈む反面
クラスの女子はささやき会っていた。


スミス先生が彼に挨拶を
促すと、彼は優雅にあたし達の
前に進み出てくると
耳に心地のいい声で
挨拶を始めた。

「初めまして。ユーリウス・レナルドです。」



そのまま彼はあいている席に座った。


開いている席なんて未だクラスに
馴染めていないあたしの隣ぐらいしかない。



彼はあたしを見てにこっと笑い、
「よろしく。」
と、一言だけ発してすぐに
授業の準備にとりかかった。


あたしは小さく
「よろしく」
とだけいって
ユーリウスと同じように
授業の準備を始めた。













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