魔女の小さな手の上で

食事も食べ終え食器を片付けるティスカ、私も何か手伝いたいがまだまともに歩くことも出来ないから見ていることしか出来ないのが申し訳ない。


「ティスカ」

「はい？」

片付けが済んだのかティスカは濡れた手をタオルで拭きながら戻って来た。


「私の持ち物はあるだろうか、何か想い出すかもしれない」

「そうですね、ちょっと待っててください」


ティスカは部屋から出て暫くして戻ってきた、その手には綺麗に研かれた白い剣に欠けた軽鎧などがありテーブルの上に並べられた。

「これで全部だと思います」


私はテーブルの上にある白い剣に自然と手が伸びた

柄の部分に彫られた紋章を指先でなぞり それから剣を手にする、自然と手に馴染み体の一部の様に感じた。


「お前エバリース国の騎士なんじゃないのか」

いつの間にかティスカの肩に乗ったシュシュが牙を覗かせて話し出した。

「私が騎士」

「この森エバリース国の王城のすぐ近くにあるからな、なんかの任務で崖から落ちたんじゃないのか？アスターが倒れてた所に崖があったし」


騎士と言われても何も思い出せない、しかし渡された剣はとても手に馴染み柄を見れば使い込んだのが見て取れる。


確かに私は騎士なのかもしれない