魔女の小さな手の上で
痛みを我慢し身体を起こし自分が寝ているのはベッドである事が解った、しかも随分小さい、自分の身体では脚がはみ出している。
辺りを見渡してみればこじんまりした家だ、木で出来たウッドハウス、一人暮らしには丁度良い広さだ、あちこちに置いてある家具や小物にはレースがあしらってあり所々には花が飾ってあるどうやら家主は女性だろうと推測する。
微かに香ばしい香りが鼻先をくすぐる、カチャカチャと音が聞こえ目を向ければ向こうの部屋にチラリと背中が見えた栗色の髪に黒いワンピース背格好は小さめだ。
…………状況把握は済んだ
はて?
何故自分はここに居る、しかも見知らぬ少女(推測)のベッドを占領して。
待て、その前に何故自分はこんなに包帯で全身ぐるぐる巻きになっているんだ。
何があった…………
…………思い出せない。
待て待て待て
もっと先に大事な事があるだろう、なのにそれすら思い出せない。
どういう事だ。
自分は誰なんだ。