魔女の小さな手の上で
「良かったら食べてください」
と差し出されたのは歪な陶器で出来たお椀に木で出来たスプーンがささっていて中にはリゾットの様な物が入っていた。
あれから自分が記憶が無いことを説明し、彼女が私を森の中で傷だらけで倒れている所を発見しこの家まで運んで看病してくれた事を聞き何度も感謝の言葉を述べた。
どうやら私は3日も意識が無かったらしい、その間彼女は小さいソファーで寝起きしていたみたいだ、申し訳ない。
「これなら胃に優しいと思うのでどうぞ」
「すまない、ありがとう」
彼女はどうやら人見知りの気があるようだ、礼を言うと恥ずかしそうに目を背ける、何だか避けられては居ないだろうが少し傷つく。
「アスター、お前3日も寝てたんだきっちり宿代払っとけよ」
と足元にボフッと布団の上に飛び降りてきた黒猫。
「シュシュまだこの身体じゃ動くのは無理だよ」
「いやしっかりと礼はしたい、この猫の言うとおりだ」
「うちは猫じゃなしにシュシュって立派な名前があるんだよ」