年下騎士
俺もそんな光景に混じろうとして、誰も使っていない机を探す。


だが、今日は生憎、どの机も誰かしら使っていた。



仕方ない。今日は帰るか…


「はぁ…」と小さいため息をこぼし、出口へ向かった。




「あのー」



不意に声をかけられ、声がした方へ振り返る。

そこには、4人ぶんの椅子がある机を1人で使っているらしい女子がいた。



「私、もう帰るんでここどうぞ?」



彼女は素っ気なくそう言うと、広げていた物をまとめた。


思わぬ出来事に少し驚いていたが、とりあえずお礼を言おうと思った。


「ありがとう」


勿論、あの笑顔で。



俺の言葉に手を止めた彼女は、一瞬チラッと俺をみて



「いえ。別にお礼を言われるほどじゃないです。」



俺は違和感を感じた。
俺の予想では、「青山先輩のためなら!」とか顔を赤くしながら言う光景がうかんでいた。


でも、彼女は顔色ひとつ変えずに素っ気ない態度をとった。
< 105 / 123 >

この作品をシェア

pagetop