年下騎士
「え、ありがとう。」


試してみたかった。

本当に彼女は、上辺だけをみる女子とは違うかを。


本当は違うと願っていたのかもしれない。

本当の俺を見てくれる人が欲しかった。



なんで今日、そう思ったのかって?



――――――
図書室に向かう途中、不意に声をかけられた。



「あのっ!青山先輩…!」

「?」


振り返ってみると、顔も知らない女子が立っていた。



誰だ?こいつ…



「わ…私!
入学式に困ってたところを助けて頂いて…
いつも優しくて素敵な先輩が好きです!」



一方的に言って去っていった女子。
いや、誰だっけ?


しかも、まるで上辺が好きですみたいな言い方。


俺は、なんとなく虚無感に襲われた。



誰でも良い。上辺だけを見ないで俺をちゃんと見てくれよ。
< 108 / 123 >

この作品をシェア

pagetop