年下騎士
え?
「あははっ!
確かに(笑)まぁ、わざわざ声を低くしてるし、素っ気ない態度をとる練習までしたもんねっ」
「私の過去がいけないのよー…」
……そっか。だからあの時違和感を感じたんだ。
わざと声を低く出して、わざと素っ気なくして。
彼女も俺と同じように、自分を偽っていたんだ。
「お姉様キャラ」なんてまっぴらな嘘の彼女で、本当の彼女は今喋っている彼女なんだ。
でも、何故だ?
脳を久しぶりに必死にフル回転させる。
「…さてと、私は図書室にでも行こうかな。」
その声が聞こえた途端、俺は思考を停止させた。
そしてただ彼女が図書室に行くということに、小さな喜びの様なものを感じていた。
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彼女たちの気配がなくなってから柱から体を離して、
何かが変わりそうな期待を抱いて図書室へと向かった。