年下騎士
ガラッ



シンと静かに人気のない図書室に迎えられた。

どこからか本の独特な匂いがした。

時々、少し開いた窓から柔らかい風が入りこんだ。

サワサワと風に吹かれた木の葉が音がする。



スローモーションのように俺は全てを感じ取りながら周りを見渡した。


いつもと違うのは、騒がしい生徒達がいないこと。


いつもと同じなのは、君がいること。



いるのは分かっていた。さっきの話を聞いてしまったから。
それでもなんでだろう。君がいることで俺の心が高鳴り始めた。


「先輩、どうしてここに?」


いつもの席に座っていた彼女は目を丸くして俺に向かって話しかけた。

声が図書館に少し響いた。

でもその声は自分を偽った彼女の低い声だった。



席を立った彼女の元に近づいて、

俺はその質問に答えずに彼女に問いかけた。




言った瞬間風が吹いた気がした。でも風の音はしなかった。


「それは君の本当の声?」





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