年下騎士
「でも、話しかけられずにいて…
そんな日々が続いたある日、私は意を決して告白したんです。」



可愛い声でそう言った彼女は、どこか懐かしい日を思い出しているようだった。


「それで?」


「でも……『君の顔は好みだけど、他はちょっと…特に声とか』
って言われちゃいました。」



彼女は、溢れ出す涙をこらえるかのように乾いた笑いをこぼした。

それでか。
彼女が閉ざした理由は。



「それから自分の声とか、性格とか、全部嫌になって偽るようになりました…

弱かったんです。私は…
嫌われるのを恐れて周りと波長を合わせちゃって…」



途切れ途切れに発される言葉が、なんとも痛々しかった。

俺の抱きしめる手に力がはいった。


「俺は、君の全てが好きだ。だから、もう偽らなくていいんだよ」
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