年下騎士
―――――

"海斗君へ

いきなりの手紙でごめんね?
今日は海斗君に伝えたいことがあって…

放課後、海斗君の教室で待っててください。お願いします。


栗林千夏より"



読み終えた俺は、手紙をしまって目を閉じた。


笑ってる千夏姉。

泣いてる千夏姉。

怒ってる千夏姉。

困ってる千夏姉。


色んな千夏姉が浮かぶ。

"住吉海斗"として俺を見た時の千夏姉はどんな答えを出すのだろう。


今日の放課後位、千夏姉は一人の男として見てくれるだろう。

答えがどうであれ、今日位は
神様。
どうかそのくらいのワガママ許してくれよ。

――――――
その日は授業なんて聞いてなかった。


「ねぇ、住吉君てばー」

いつも話しかけてくる名前の知らないクラスメートの喋り声も無視した。


そんな風に過ごしていたら、あっという間に放課後になった。
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