年下騎士
「逃げやがった…」

「それよりも…海斗…千夏が…」



姉貴が千夏姉に近づく。
俺も近づいて二人で千夏姉の前に座った。


「っっ…わぁぁぁ!!!!」


千夏姉は何かが切れたように大声で泣き始めた。


ボロボロの姿の千夏姉を見ると、


「…姉貴。保健室を確保して。」


そして……


ギュッ…


「っひっく………っ怖かったぁよぉ………」
「千夏姉。大丈夫だから。俺が側にいるから……」



千夏姉を抱き締めていた。
愛しい千夏姉を。

優しく優しく抱き締めた。


―――――――
しばらくすると、千夏姉は泣き止んだ。


「千夏姉…大丈夫?」
「……ごめんね…海斗君…」


「全然平気。

…………とりあえず、保健室行こうか。」


千夏姉の手についたロープを保健室で切ろう。
だけど、俺は気付いた。

< 43 / 123 >

この作品をシェア

pagetop