年下騎士
フッと耳に息を吹きかけられた時にはもう、体の力はまったく入らなかった。


ちょっと体重をかけられただけで、簡単に私は後ろに倒れた。


ギシッ



倒された私に、海斗が上に覆い被さってきた。

海斗の手は私の頭を支えていて、海斗の顔と私の顔の近さは僅か数センチ。


これから何があるなんて、流石に高校生だし知っている。
でも、初めてだし、少し恐かった。

だから、せめてもの抵抗で、一つ言ってみる事にした。



「お姉ちゃん下にいるでしょ?ほっほら、気づかれるって…」

「早苗さんは日曜出勤。」



玉砕。
頼み綱も無くなって、あたふたしている私を見て、



「…千夏。嫌ならやめてもいいよ?
無理矢理しようなんて思わないから、ね?」
「えっ………」

悲しそうな笑顔をした海斗。
嫌なんかじゃないよ。


私から離れようとした海斗の腕を必死に掴んだ。


「嫌なんかじゃない!」

「千夏?」
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