不安定幻想曲
今日は朝からとても良い天気だ。
快晴、という言葉が何よりも合っている。
空色だな、そう思って懐かしくなり口許に笑みを浮かべた。
日焼け止めをぬらなくちゃ。日焼けするならしてしまえばいいのに残念ながら火傷状態になり日に当たると大変なことになる。小麦色の肌など憧れど無縁だ。
日焼け止めを肌に塗りながら鏡越しに時計を見た。
7時40分。
そろそろ彼が迎えに来る時間だ。いつも通り。でも今日は、今日こそは変えなくてはいけない。いつまでもこのままで居るわけにはいかない。
そう考えていたら玄関のチャイムが鳴った。鞄を持って急いで玄関へ向かった。
「おはよう、夏希」
いつも通りの爽やかな笑顔と清々しい低音で挨拶をする。
「おはよう、託都」
いつも通りにっこり笑って挨拶を返した。
これは支倉夏希と有栖川託都の朝の日課、17年間変わることのない儀式だ。