最高級の召使
母が私の手を握って
一緒に部屋に入った。



「こんにちは。」


どきどきした。

振り向いたじぃは
私の知っているじぃではなかった。


しゃんとしていた背筋は丸くなり
いつもきれいにしていた髭は伸びていた。


ショックだった。



「じぃ、元気だったかい?」

父はわざとに明るい声をだした。



「はて…ん…?
どちらさまじゃろ」


付き添っている介護士が


「今日は正之助さんの記憶は全く駄目ですね。
昨日はよかったんだけど」


じぃはジロジロ見ていた。


「アルツハイマーです。」


じぃを見つめながら
倉之助が言った。



衝撃だった。

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