最高級の召使
キスの音が響き渡る……


何度も合わせる唇

そしてじれったさに耐えられなくなって
私は激しく倉之助の唇に
吸いついた。


「忘れたいの……全部……」



舌が絡み合った。


息苦しさに唇が離れた。

その時ベットの写真たてに
目がいった。


「ね?俺は倉之助じゃないよ?」


「言わないで……」


「このまま続けたら俺は止まんないけど。」


「中野も誰かだと思って…」


私は指をさした。
写真立てに笑顔で見ている
女性の写真……


「あんたもさびしいんでしょ?」



「え?」



「さびしいって同じ心の痛みを
持ってる気がしたから……」


中野は寂しそうに笑った。
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