最高級の召使
朝まだ窓は真っ暗だけど


冬の朝は遅い


メイドが起こしに来る前に
家を出なければいけない。


玄関のドアそっと開けた。



門を出るとき
振り返って


「バイバイ・・・」



私が育ってきた人生を
海に向かう道で思い出しながら歩いた。



倉之助を愛した
短い日々・・・・・・・・



「会いたい
最後にもう一回会いたかった。」



空が白くなってきた。


「今日は
冬晴れ…昨日より寒い。
海つめたいんだろうな。」



海の音が聞こえた。


長靴をはいてきたから
多少の雪を漕いで
波打ち際で私はその時を待っていた。
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