最高級の召使
いつしか長靴が流された。
ジャンバーを脱ぎ捨てた。


もう少し
波に足を取られながら
深みに向かって
死の世界に向かって
私は歩き出す。



お腹のあたりに水が来た時
あまりの冷たさに
一瞬たじろいた。

体中が音をたててガタガタ揺れた。


いまさら
引き返さないから


自分を立て直す。



一瞬だった、まだ腹のあたりだった深さが
いきなり深くなった。


突然の出来事に
私は一気に恐怖に駆られて
岸に向かって暴れだす。


「やだ・・死にたくない・・・
死にたくない・・・・」


もがいてもがいて
生きたい…・死にたくない


体が必死にもがきだしていた。
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