最高級の召使
「明後日、迎えをよこしますので
誕生会にどうぞお越しください。」


そう言い残して
井上が黒塗りの車に
乗り込んだ。



私はその姿を見て
家に入った。




両親が戻ってきて
「素敵な青年だろう?」
そう言った。


「ほんとにそう思うの?
人の弱みに付け込む
汚い男じゃない?
パパはあいつに借金をしてるのね?
だからあいつの
機嫌取りをしてるんでしょ?
私は借金の肩に
あいつに売られるの?」



「楓、なんてこというの?
パパはあなたの幸せを思って。
井上さんは素敵だしお金はあるし
言うことないわ。
この間連れてきた人より
ずっといいいでしょう?」



「そんな問題じゃない!!
愛してない人と結婚したくない!!」



「結婚してからだって
愛は芽生えるさ。
見合いはそうだろう?
わざわざ見合いクラブで結婚相手を
探す時代だ。
利口な女はそうするんだ。」



「私はいやだから!!」
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