最高級の召使
私たちは、倉之助の生れ育った街にいる。


向こうでの騒ぎなんて
ここでは何にも感じない。
知ってしまえば罪悪感で不安定に
なってしまいそうだったから
私も倉之助もあえて何も求めなかった。


しばらくここに滞在することにした。
言葉も何も
わからないけれど
とても安心した。


倉之助の母方の遠い親戚の
家に世話になった。





「父も日本から逃げてきたんだ。
俺も同じ道を歩くなんて
笑っちゃうよな。
父もここで最初母と暮らしてたんだよ。」



「そうなの?
なんて素敵なのかしら・・・」


「ここで俺たちと同じように
愛を語り合って
未来を夢みながら暮らしていたんだ。
これからどうするか・・・」



「私もここで暮らしたい。
仕事探せる?」



「でも・・・・
言葉もなにもわからないよ。
俺だっていつも一緒じゃないし・・・」



「勉強する・・・・
あなたのご両親と同じ夢を
見られるなんて…なんて素敵なのかしら。
きっと守ってくれるわ。
そんな気がするの。」
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