パールブルー
始まりの海
運命の石
「王子は、まだ相手を決めてないのか」
幻想的に輝く部屋に低い声が響きわたる。
白い貝で作られた大きな椅子に座る男からだった。
「はい。なかなかアラン様に合う方がおられないようでして…」
「もう、ゆっくりはしてられん。王子の18の誕生日まで後1ヶ月しかないのだ。それまでに相手を見つけなければならん。」
男は、少し怒りの含んだ声を家臣に向けた。
「王。私に考えがあるのですが、聞いて頂けますか?」
「言え」
「ここカムールに代々伝わる石占いで決めてはどうかと…」
カムールには豊富な種類の魔法の石があり、王族はよくその石で行事の日取りなどを今でも決めている。
「石占いか…いいだろう。クリム、頼んだぞ」
「はっ。有り難きお言葉」
クリムと呼ばれる男は、一礼して部屋を出ていった。
それを見届けた男は、貝殻の椅子から立ち上がり後ろに映るカムール国を見渡した。
本当は、アランが本気で好きになった人がいいのだが…
無理だろうな。
目を閉じ、ため息を一つつき男は、部屋から出ていった。