パールブルー
そんな青歌を見て、男はもう一度問いを投げ掛ける。
「水野 青歌さんですね?」
低くも高くもなく、透き通るような心地よい男の声が耳に響く。
まだ、目があったままの青歌は、有無を言わせないような男の瞳に完全にびびり、何度も首を縦に振った。
「そうですか。
では、まいりましょうか」
そう言うと、男は少し放心状態の青歌の腕をつかんできた。
「えっ!?ちょっと!何なんですか!!」
放心状態からやっと抜け出した青歌は、こんな怪しい人について行ってたまるかとバタバタ手足をばたつかせる。
「目をつぶっていてください」
素直なのかお馬鹿なのか、青歌は男に言われたとおり目をつぶりながら抵抗したが、さすがに男の力には叶わず、どんどん体が水の中に入っていく。
「静かにして下さい。私から離れるとおぼれますよ」
完全に水の中に体が入ってしまい、もう私は死ぬのかと息をめいいっぱい吸い込んだ。