パールブルー

クリムは、呆れかえっていた。
手の中にいる少女は、今もなおすやすやと眠っている。


普通寝れるのか?
こんな状況で…


カムールに着いた時から顔をうつ向かせていたから、ショックを受けているのだろうと優しく手を引いて城に連れて来たのだが。


少女は、すっかり眠ってしまっていた。


とりあえず、部屋に連れていくか。


今までつかんでいた手を離し、ふわりと抱き上げ、城の奥へと進んで行った。



*****



クリムがため息をついていた頃、カムール国の王子であるアランは、暇を持て余していた。


実際は、執務があるのだが…何故か今日はやらなくてもいいと言われ、部屋で一日中ゴロゴロと寝て過ごしていた。


つまらん…


いつもは口煩い家臣も今日は、朝に会ったきり会いにこない。


クリムでも探すか…

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