年下彼女のご機嫌いかが??
よく、りゅうがあたしに言っていたのを思い出した。



『高校の頃が一番楽しい時間なんだよ。その時はそれが分からなくて、俺もめちゃくちゃな高校生だったけど、やっぱ、今でも懐かしく思うのは全部高校の頃の記憶だからな』



遠くを見るようでいて穏やかな表情で、



そう懐かしげにつぶやくりゅうを、



その時のあたしはただ見つめるだけだったけど、



今のあたしにだったら、その意味が分かる。



あたしには短い時間だったけど、



あたしにとっては大切な毎日だったんだ。



もう戻れない時間だけど、



冴えない古びた校舎。



先生、そして友達。



その中での思い出。



全てに「ありがとう」っていう思いになりながら、



あたしは一人、校門を出た。



『若美さん…なんか…あの…この前はゴメン…』



校門前には申し訳なさそうにあたしを見る男がいた。



佐伯君か……。



『別に気にしてないから…』



ちょっと前に告られたんだっけ??



あの嫌味な態度はムカついたけど、ま、いっか……。



あたしはまだ何か言いたげな佐伯君の横をそのまま通り過ぎた。

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