年下彼女のご機嫌いかが??
だけど、そんな俺でも、



『りゅうも泣いてるの?』



レイナに言われて、初めて気づいた。



無意識に流れる大粒の涙。



こんな気持ちで流す涙はいつぶりだろう?



ずっと長い間、忘れてしまっていた気がする。



先に分娩室を出た俺の目の前には、



『流星君!!レイナはっ……?赤ちゃんは?』



駆け付けてくれて、廊下で待っていたレイナの両親。



『無事に産まれました。元気な男の子です。目元がレイナさんによく似ています。レイナも大丈夫です』



俺がそう言うと、お母さんは安心したのか、



力が抜けたように、しゃがみ込んだ。



『良かった…本当に良かった。男の子か。よかった、よかった』



レイナのお父さんも満面の笑みを浮かべ、ほっとした様子だった。



すると、分娩室の扉が開き、



中から赤ちゃんを抱っこした助産婦さんが出てきた。



真っ白なタオルに包まれた赤ちゃん。



見れば見るほどレイナに似ている。



『パパさん、抱っこしてみますか?』



助産婦はそう言って、抱っこしていた赤ちゃんを、



そっとそっとゆっくり、俺に手渡した。
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