宝石色の幻想
第二話



ポケットから顔を覗かせる白い携帯電話から、小さなウサギのストラップが垂れている。ピンク色のウサギの下に暖色系のビーズ何個かぶら下がっている。

それを乱暴に掴み、ポケットから携帯電話を抜き取った。蒼空音の頭の中は真っ白で、しかし何かに急かされているように見える。


右上の電話帳のボタンを押して、ひたすらにボタンを連打した。冷静な思考は既に失われている。すごく腹立たしく、すごく息苦しい。そんな気分で、虚ろな瞳で、早々と流れていく画面を追った。


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