宝石色の幻想
目的地はただ一つ。蒼空音は息をするのも忘れて、携帯電話を操作していた。
太陽が眩しい。日光が痛いほど肌を差し、不快な湿気に包まれる日曜日の正午。通行人は汗を額に浮かべて、ある者は日傘を差して、ある者は日焼け止めを塗ったくっている。
こんな蒸し暑い中、身動き一つすらせず取り憑かれたように携帯電話をいじる蒼空音を、道行く人はじろじろと見ていた。不気味なのかもしれない。もちろん彼女はそんなことお構いなしに手を動かし続けているが。