宝石色の幻想

気持ちが揺れている。同時にストラップも揺れている。三年前、東京の動物園に行った際のお土産。美乃と蒼空音がお揃いで買ったストラップ。
美乃はピンクのうさぎに真珠のようなビーズが連なった方を選んだ。



私のピンクの携帯にはこっちのが映えるし、蒼空音の携帯にはそっちのうさぎの方が合ってるよ。



そう、無邪気に笑っていたっけ。

それから蒼空音も美乃も携帯電話を変えた。そのため形は異なったが、二人とも色は変えなかった。


蒼空音はストラップをぎゅっと握る。揺れていたそれは動きを止めて、彼女の手中に収まる。

そして感傷に浸りつつも、その番号に電話を掛ける決心をした。


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