宝石色の幻想
第四話
二人の少女と、一人の既婚男性との出会いは遡ることおよそ三年前。
二人の少女は大変仲のよい私立高校の女子校生。黒いショートヘアのいかにも体育系といった外見の二年生、岩塚蒼空音。対照的に、光に透かすと茶色になるロングヘアの愛らしい二年生、藤沢美乃。
高校までは電車で通学していた。片道一時間と少々。乗り換えることがないので、その点は楽だが、行きも帰りもひどいラッシュに見舞われていた。
そのラッシュの時間帯に乗り合わせていたのが、証券会社に勤めるサラリーマンである柏木淳。真面目で人柄のよい二十八歳の一般男性である。