宝石色の幻想
第六話
季節が移り、美乃が大学に合格して高校生活と電車通学は残りわずかな期間となった。
その矢先だった。
「子供が出来たんだ。」
柏木は嬉しそうに、美乃に言った。この喜びを誰かと分け合いたくて、美乃を驚かせたくて。
「嘘?…わあ、おめでとうございます!えっと、女の子、男の子?」
案の定、美乃は目を輝かせていた。柏木も期待通りの反応に胸がいっぱいになり、いつもより饒舌になっていた。
「まだわからないんだ。でも夏に出産予定。」
「出産予定って…淳さんが産むんじゃないんだからねっ。」
それもそうだな。笑い合う二人は一見喜びに満ちあふれていた。しかしそれは大いなる間違い。