宝石色の幻想
名前考えておかなきゃ、ですね。無邪気に笑う、美乃。日課となっていた柏木との出逢いも、残り数日になっていた。
美乃は笑っていたかった。柏木の前では笑っていたかった。無論、口に出さずともいつも心配する蒼空音の前でも笑っていた。余計な心配は掛けたくない。蒼空音はここからは少し遠い、国立大学合格のために日々勉強に励んでいたから。
新たな生命の誕生。喜ばなくちゃ、笑わなきゃ。何故、嫉妬なんかするの?何故、涙が止まらないの?
美乃は部屋に籠もって、声を殺して泣き続けた。
私がこんなに苦しんでいるのに、淳さんは愛する人と笑ってる。私を置いて、幸せに浸ってる。