宝石色の幻想
闇に墜ちていく美乃に、柏木からの突然のメールが舞い降りた。それが求めていた光。美乃は慌ててメールを開き、逸る気持ちで読み進めた。
――美乃、元気か?大学はどうだ?俺は相変わらず元気でやってるよ。前に話した子供の件だが、どうやら男の子らしい。八月の予定だ。
ああ、光なんかじゃなかった。美乃は再び闇に墜ちた。女の子じゃない分まだ軽いか。それでも心の傷は広がり、えぐられていった。
精神安定剤なんかで癒える傷ではない。けれども飲まなければ、もっと傷口が開きそうだ。
美乃は精神安定剤を飲んだ。夢中になって、ひたすらに。錠剤を一つ一つ押し出し、十、五十、百…時間をかけて、がむしゃらに飲み干していく。