宝石色の幻想


そう、彼女はそれを告げるよう頼まれたのだ。自分達にはどうしてもわからない。蒼空音ちゃんなら何か知っているでしょう、と。


これを言っても絶対にこの二人は救われない。蒼空音の唇は未だ固く閉ざされている。

この二人が、頬を濡らし続ける男女が娘の美乃を愛している限り、美乃自身が隠したメッセージを伝えてはならない。それは両親に伝わらないように書かれたのだから



蒼空音は真っ赤な顔をして小さく首を横に振った。わかりません、との意思表示だ。


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