君が嫌いな夏
ひとり、夏を感じるたびに、思った。
もろく弱い、君は
遠い土地で、元気にしているだろうか
ひとりぼっちが苦手な君は
逆に人に押しつぶされて、汚されて
またひとりで、泣いていないだろうか。
そう、まるで保護者のように、心配する、僕は
やっぱり恋人としては、失格だったのかな
なんて思えば、思うほど。
……暑くて
熱くて
……日差しが、熱くて。
鋭く尖った冬の風は、
もう、ここにはないのに
情けない僕を責め立てるものは
もう、消えたはずなのに
雪の代わりに真上から降ってくる、熱の矢が
頭に
肩に
心に
突き刺さって
溶けてしまいそうなんだ、アスファルトに
蒸発してしまいそうなんだ、この、湿った空気に
君が嫌いな、
嫌いな、夏に。
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