空 猫-ソラネコ-


お母さんは今まで、ずっとそう思ってたんだね・・・。


ぼくはもう、言葉が出てこなかった。

何も言えなくて、体が固まった。



『出てけ!出てけ!』



兄弟達は声を揃えて、口々にそう言い出した。

お母さんは、冷たい目でぼくを見てる。


『出てけ!出てけ!』


「・・ッ・・・」



ぼくは、もうここに居れない。そう思ったら、足が勝手に走り出した。

もう何にも感じなくなってたはずなのに・・・。何を言われても、全然平気だったのに・・・。


すっごく胸が痛い。

涙だって勝手に出てて、止まらなかった。


苦しい、苦しいよ・・・。


ぼくはひたすら走った。


みんなのいない遠い遠いトコへ・・・。




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