あわい恋と約束

彼女は、俯いて


『ほんとぅに嬉しい、ありがとう。』


彼女は顔を上げ


人込みのなか、口づけてきた。


軽く、唇を重ねた。


一瞬の出来事だった。



彼女は、何も言わず

荷物を私に渡し、先を歩く。



行き先は、教えていない。


彼女を追いかけ走る。



彼女は立ち止まって手を広げ、

行き交う人が観客であるかの様に、

その場で2回ターンをした。


彼女に追い付き、囁く様に


「県営球場に行くよ」


『なんで!』


「県予選、準決勝。
君の高校と、うちの高校」


『えっ、準決勝!
うちが? 行く行くっ』




< 103 / 202 >

この作品をシェア

pagetop