あわい恋と約束
彼女は、俯いて
『ほんとぅに嬉しい、ありがとう。』
彼女は顔を上げ
人込みのなか、口づけてきた。
軽く、唇を重ねた。
一瞬の出来事だった。
彼女は、何も言わず
荷物を私に渡し、先を歩く。
行き先は、教えていない。
彼女を追いかけ走る。
彼女は立ち止まって手を広げ、
行き交う人が観客であるかの様に、
その場で2回ターンをした。
彼女に追い付き、囁く様に
「県営球場に行くよ」
『なんで!』
「県予選、準決勝。
君の高校と、うちの高校」
『えっ、準決勝!
うちが? 行く行くっ』