あわい恋と約束
試合はまだ始まっていない。
うちが 一塁側 後攻。
彼女の髪が 少し顔に当たる。
あの時は 完璧と思ったが
失敗、右にズラしたのは失敗。
今は、ちょっと欝陶しい!
でも、言えない。
彼女は席を立ち
『ちょっと、ごめんね』
彼女は通路の中へ。
直ぐに戻って来た。
その手にミネラルウォ-ターの
ペットボトルが 2本
『はいっ』
1本を私に差し出した。
髪先がゴムで軽く留められていた。
優しい配慮。
私はペットボトルを受け取るが
髪の事には触れなかった。
『ここいいね、屋根があるから、
陽が当たらなくて』