あわい恋と約束
夕陽のなか
放課後、約束の場所へ行くと
石元が先に来ていた。
『遅いよっ、女の子を誘ておいて
遅れるなんて
だ・め・よ』
右手の人差し指を
[だ・め・よ]にあわせ
左右に動かした。
その場に座り、スケッチブックを開いた。
彼女に夕陽が当たる様に座らせた。
彼女に
「いいって言うまで動くなよ」
『なんでよぅ』
「ちょっとだけ こっち向いて」
夕日が当たる彼女の顔を描く。
1時間かけ描き上げた。
その間、彼女は
ひと言も話さなかった。
彼女に礼を
「ありがとう、助かったよ
家まで送るよ」
『もう終わり、全然話ししてないよ
つまんない!』