あわい恋と約束
彼女に地下鉄が止まった事を告げる。
彼女は動揺する事なく
『タクシーあるでしょっ』
確かにタクシーが有るが
ここの客、見た範囲の客数では
いつ乗れるか、分からない。
この状況だから、
予約は受けないはず。
私は、新ためて彼女を見た。
浴衣 では無い、
彼女が浴衣に着替えるのを、
ひそかに期待していた。
世の中、そんなに甘く無い様だ。
二人には会話が無く、
ただ見つめ合っていた。
永遠に続く様であった。
二人の仲を、
館内アナウンスが、
引き裂いた。
〔・・・スパを、ご利用のお客・・・〕