あわい恋と約束

彼女の目は、潤んでいる
私には、そう見えた。


この歳まで
苦労が無かった人なんて
そんなにいないはず。


私は右手の親指で
彼女の左薬指を軽く摩る。


彼女はうつむき、小声で

『なんで? 気になる?』

正直、気になっていた。

彼女は、一人なのか?

久しぶりの再会で
ここまで
立ち入っていいのか

間違った対応した

悔やまれる。


そんな私の心情を察したのか


『ずっと、一人よ・・・』

『プロポーズしてくれた人は
何人か、いたのよ』

顔を上げ、私を見る彼女

『でもね、踏み出せなかったの』


なんか気まずい。

これ以上は聞くまい
聞いては、いけない。




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