あわい恋と約束
美術館の売店は
本展示より、遥かに盛況である。
彼女は 首飾りだけを見ている。
私は首飾りを取り、
彼女の首に当てて確認する。
彼女は小さく頷く様に、
頭を一回縦に・・・
私はそれを買った。
彼女は嬉しそうに手を差し出した。
私はレシートを彼女の手に乗せる。
彼女は頬を膨らませ私を叩こうとし
右手を挙げ睨む
その手に首飾りの入った
箱を押し当て握らせた。
彼女は一瞬止まった。
そして、笑顔になり
そのまま両手を挙げ、軽く跳んだ。
さすがに声は出さない。
安い買い物だった。
この程度で喜ぶなら
安い買い物だ。