戦場に、一輪の花が咲いた
扉を開いたら、高く透き通った高音が耳に入る。



祭壇を向いて、アッシュブラウンの長い髪をした女が歌っている。



まるでライルの枯れた心を癒すように。



透明で繊細で、だけど存在を示す歌声は、目の前に広がるステンドグラスみたいだ。



ライルが一歩踏み出すと、革靴の踵が地面を蹴り、コツっと音を放つ。



女は歌うのを止め、振り返った。



女…というには幼い顔立ち。ライルと同年代くらいの少女だろう。



「すまない。アンタの歌の邪魔をするつもりじゃなかったんだが。」



ライルは歌を止めさせたことを少し悪く思い、頭を掻いた。
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