戦場に、一輪の花が咲いた
そんなライルを少女はキョトンとした瞳で見つめ



そして、ふんわりと微笑んだ。



そのあどけない笑顔にライルの心臓は優しく一回、血液を体に送った。



「あなた、誰?」



「俺は…マオだ。」



一瞬本名を出そうとしてしまったが、軍で決めた偽名を使う。



「マオ。私はリリーだよ。」



あどけない優しい笑顔のまま自分に名乗ったリリー。



一瞬感じた罪悪感は心の中で引き裂いた。



コイツは、敵国の女。



自らに言い聞かせて。
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