戦場に、一輪の花が咲いた
「朝、早いね。」



白い花を持ったリリーが目を細めて笑う。



「今日は特別だ。」



ライルもふっと目を細めた。



「昨日ね、リリー、初めて外国の軍人さんを見た。」



リリーの言葉にライルは心臓がドキリとするが、顔色は変えない。



「そうか。どうだった?」



「凄く、威圧的なオーラが出てたけど、若くて、悲しい雰囲気だった。」



悲しい…か。



確かにそうかもしれない。



「マオも、孤独って顔してる。あの軍人さんと同じ雰囲気。」



ライルはリリーの言葉に、ヒヤヒヤさせられっぱなしだ。



だけど顔色を変えないのは敵に気持ちを悟られないために覚えた術なのかもしれない。
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