【短編】君のすぐ隣で


こんな事なら昨日きちんと早く寝ていれば良かったんだ。ゲームなどしなければ。

な、南央が悪い……!

風呂上がりでテンションが上がっていた私をゲームの対戦相手に誘うから…。


とか言いつつ。

最初から断るつもりなんか無かった。相手してやるつもりだったのです。


『俺様に勝ったら何でもひとつ言うこと聞いてやるよ。金銭的なのはナシね』


こんな事言われたら、燃えてしまうのも同然。当然その賭に乗った私。

勝敗はもちろん、勝ち早南、負け南央。だてに毎日夜ゲームをしている訳じゃない。


力の差を見せつけてやった。

さて、何のお願いを聞いてもらおうか。



そこで記憶は途絶えていた。

何でだろう。寝てしまったのか。だとしたら勿体ない。

もう一戦してもうひとつ言うことを聞いてもらおうと思ったのに……。


「……ちっ。惜しい事した」


「え?どーかした?」


軽く舌打ちをして下唇を噛み締める。ちなみに今は学校へと続く道を走っている最中だ。

決して呑気に会話をしているわけではないという事を知っておいてください。


「ああ飛鳥、聞いてよ。南央がね…」


「……また南央か」

「え」


コンビニの前を通り過ぎたところで、口を開いた私に、呆れ気味のような一言が返ってきた。

え、また……って何。



「早南、究極のブラコンだよね」



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