One Way Ticket 2
「違う?何が違うの?
 事実私たちは付き合っていたじゃない?」

少し声が焦っているのがわかる
美那子は明らかに苛立っている

私はネコのように美しく
大きな潤んだ瞳を見つめた

「自己紹介・・・まだしてませんでしたね?
 私は那智の彼女です。」

冷静に
言い切った


ここで感情的になりたくない
私はこんな女に負けたくは無い


大きな瞳に陰りが見える



「美那子。
 勘違いするな。
 俺はお前に気持ちを言った事など無いだろ?
 好きになった事は一度も無い。」


那智はすっと私の横に座った


美那子の美しい顔は一瞬にして
哀願する子猫のような顔になった


「待ってよぉ・・・
 美那子はね、那智が好きなんだよ。
 こんなに、こんなに大好きなんだよ?
 那智も美那子のこと本当は好きなんだよね?」


じりじりと那智に近寄る美那子

私はその姿に背筋に走る嫌悪感を覚えた


「美那子。
 俺の何がお前にそう勘違いさせたのかはわからない。
 もしそうなら謝るよ。ごめん。
 
 俺は・・・今、千香が一番大切なんだ。
 初めて人を好きなったんだよ。
 
 だから・・・ごめん。」


うれしくて


うれしくて


涙が溢れた


初めて聞いた那智の気持ち


私・・・


那智と出会えてよかった



那智を好きになってよかった
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