One Way Ticket 2
首都高を降りて海岸線の途中で車を止めた


車から降りて
夜の海を見渡す


黒光りの深く
音だけが響く闇


はぁ…


タバコを取り出した所で携帯がなった


「はい。」


『あぁ、俺。』

相手は仁


「なに?」


『お前…千香に何した?』
珍しく仁の口調が荒かった
「…―別に。」

タバコに火をつけて
一息吹かす

『千香から…電話があって。あいつ混乱してたぞ?』

千香が…

そうか
俺が怒鳴ったからか―…


『お前、千香を泣かせてんじゃねーよ!』


「はぁ?」


『千香が俺ところにお前と良一の事を聞きに来たとき、凄く悩んでた。

たぶん、お前の過去を受け止めきれるのか。お前に内緒で聞いてもいいのかって相当、辛そうだったよ。


でも、俺が話終わって、すごく切ない顔した後で

千香は心を決めたような顔してた。

それはお前に話を聞く決意をしたからだと思う。』


「……それでも、人の一番触れられたくないところを勝手に見られるのは
気に入らない。」


灰がボトっと砂浜に落ちる

『…確かに、それで怒るのは無理もない。

だけど、千香がなんのためにお前の過去を聞いたと思ってんだよ?

好奇心や興味本意で聞いたと思うか?
だったらあんな表情しないだろ…

お前を知りたくて
お前との距離を少しでも埋めたくて…

だから
その話に触たんだと思う。

千香から過去の話を聞いたって言われてその後の千香の言葉を聞いたか?』


「………いや。」

『いつまでも、一人だって気取ってんじゃねーよ。
悲劇のヒーロー気取りたかったそれでもいいけどよ、お前を想ってくれて、支えてくれる人まで

傷つけてんなよ!!』


怒鳴り声と共に電話が切れた
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